ミュージックマシーン


■NONA REEVES 西寺郷太インタビュー
■7枚目のオリジナルアルバムにして最高傑作「SWEET REACTION」がついにリリース。
■喜びと悲しみ、ハッピーでメロウ。すべての感情を詰め込んで回るディスクをキャッチして、この夏の思い出のページをめくれ! ノーナ最高!
PROFILE
西寺郷太(にしでら・ごうた)
1973年11月27日生まれ。ノーナ・リーヴスのボーカリスト&メインコンポーザーとしてほとんどの曲の作詞作曲を手がける。マーヴィン・ゲイ、マイケル・ジャクソン、プリンス、ワム!、ハービー・ハンコックらの音楽を敬愛し、ソウルフルかつポップな楽曲を次々と発表。ステージでのユニークなMCやダイナミックなパフォーマンスで人気を集める。バンドの公式サイトや雑誌のコラムなどを中心に執筆活動も行い、その文章のファンも多い。

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ミュージックマシーンのインタビュー企画第2弾は、ノーナ・リーヴスの西寺郷太さんにお話を伺いました。ぼくが公式サイトのメールフォームから郷太さんに「インタビューさせてください」とメールを送ったところ快くオーケーもらった、という次第です。

つーことで、ニューアルバムの「SWEET REACTION」を聴かせてもらったんですが、これがものすごくよくて。さりげなく最高傑作。勢い余ってインタビューも超充実。ニューアルバム全曲解説からバンドの歴史、曲作りの姿勢の話まで、3万字を軽く超えるボリュームでお届けすることになりました。

おそらく西寺郷太インタビュー史上最長のロングテキスト。ファンの人にはきっと興味深い内容になってるはずです。この夏の推薦アルバム「SWEET REACTION」をより楽しむための手がかりにしてもらえれば最高です。

(2003年7月23日掲載 / タクヤ@ミュージックマシーン)


■夏の歌さえ歌っていれば、ほかの歌はいらないくらい。

――きょうはよろしくお願いします。ぼくが最初にノーナのライブ観たのが98年に下北の251でやったときで。

おお、えらい昔ですね。はじめてのワンマンですよ、それ。

――あ、あれが初ワンマンだったんですか。

そうですね。251は1回しかやってないんで。

――それからはライブはほとんど行ってます。

そうですか! そんだけ長く聴いてくれてるなら、かえってこっちが聞きたいこといっぱいありますよ。アルバムによって流れとかいろいろあるじゃないですか。

――うん、それはもうずっと、アルバム出るたびにいつも思ってました。そのへん含めてきょうはじっくり聞いていきたいと思ってます。

はい。

――で、今回のアルバム「SWEET REACTION」聴かせてもらったんですけど、かなり夏っぽいムードが出てますよね。

今回は発売日が最初からある程度決まってたんですよ。10月に全国ツアーが終わって、作り始めたのは11月くらいなんですけど、「いまから作り始めたら絶対夏にまにあうな」と思って。いつもなかなか夏にまにあわなかったんで今回はやるぞ、と。

――いままでまにあわなかったのはどうして?

ノーナってほかのバンドに比べて時間がかかるんですよ。そりゃもっとかかるバンドもいるだろうけど、ノーナの場合は曲として積み上げていくものが多いから、4人でドーンとやって終わりっていうのが、やっぱり少ないんで。そういう意味で前回まにあわなかったのが、自分のなかで大反省。それが悔しかったから、今回は7月までには出したいと思って作り始めましたね。

――じゃあ去年の秋に曲を作り始めたときから、もう夏の曲を作ってたんですか。

うん、やっぱ夏に聴いて気持ちいい曲ですよね。7月くらいからラジオでかかって、8月9月で夏が終わって、10月になっても「あの夏のアルバム」として聴けるもの。年が経っても「2003年の夏によく聴いたな」ってみんなが思ってくれるようなアルバムにしたいと思って作ってました。

――その夏への思い入れってどこからきてるんでしょう。過去に好きなミュージシャンが夏のレコードを作ってたとかそういうことなんですか。

いや、ポップソングってやっぱり、女の子とクルマと夏とか、SEX, DRUG & ROCKN'ROLLじゃないけど、あるじゃないですか、そういう1つのテーマみたいのが。

――はい。

だからやっぱり夏の歌って、絶対にポップスのいちばんいいところが出せるテーマだと思うんですよ。なんでも入ってるというか、夏の歌さえ歌ってればほかの歌はいらないくらいに大事かなって。別れとか出会いとか、なんでもある季節だし。
いままでのアルバムって、「QUICKLY」は8月25日発売だったんですけど、あとはみんな9月とか2月とか、けっこうずれてるんですよね。だから夏への思い入れっていうより、まだやってないからどうしてもやりたいっていうのがあって。せっかく「二十歳の夏」とか「AUGUST」とか夏ソングいっぱい作ってたのにっていうのもあって、今回こそって思ってたんですよね。


■自分の作る曲がライブで再現できるとは思ってなかった。

――今回のサウンドについて思ったんですけど、ノーナって音楽的な守備範囲が広いバンドじゃないですか。メロウなのもやるしガレージっぽいギターサウンドも得意だし。でも「FRIDAY NIGHT」以降は「ディスコ」っていうキーワードがあって、それを前面に打ち出してきたと思うんです。でも、今回は昔のノーナが持ってたギターポップというか、ギターバンド的な要素がけっこう入ってるんじゃないかと。

そうですね。だから今回は「QUICKLY」とか「SIDECAR」から聴いててくれた古いファンの人にも喜んでもらえるんじゃないかと思ってるんですよ。でもだからって言ってギターバンド的な要素ばっかりになってるわけじゃなくて、すごくわかりやすいアルバムだと思うんです。
ギターバンド的な要素ってことでいうと、下北の小さいライブハウスでやってた頃は、やっぱりほかのギターバンドと対バンしながら刺激を受けてたわけですよ。ペンパルズとかプリスクールとかショートカットミッフィーとか、ノーザンブライトとかピールアウトとか、あとエレクトリックグラスバルーンとかそういう先輩たちも含めて、俺が20歳くらいのときにめちゃくちゃ影響受けてたんですね。それまである種知らなかった世界っていうか。
当時からマイケル・ジャクソンとかジョージ・マイケルとかキンクスとかフーとか、もちろんビートルズ、ストーンズとかすごく好きだったんですけど、それまでは俺の作る曲がライブで再現できるってあんまり思ってなかったんです。だから「MEMORIES」とか「SWEETNESS」みたいな曲はイメージとしては作ってたんだけど、それを(下北沢の)CLUB QUEとか251とかそういう場所でバンドで演れるっていうふうに思ってなかった、思いついてなかった。
自分がライブハウスで演る音楽は、もっとR&B寄りっていうか、ヒップホップとまではいかないけど、キーボードとサンプラーを鳴らして、音があってシンガーがいるっていうそういうイメージだったんですね。だからそういうスティービー・ワンダーとかマーヴィン・ゲイみたいな曲をギターとベースとドラムで、バンドでやれるって発想自体がなくて。でもそのエレグラとかプリスクールとか見て「俺が作ってるスティービー・ワンダー的な曲をバンドでやったらどうなるのかな」って思ったのが、「SIDECAR」につながるノーナの始まりだったんですよね。だからあのころ受けたギターバンドの衝撃っていうのはめちゃめちゃでかかったし、プロになる前のいろいろ試行錯誤してる時代の最後にああいうギターバンドがライブやって、お客さんが近くにいて、っていうのを観ちゃったから、そこがやっぱ大事なルーツのひとつになってて、今回のアルバムでも「数学教師」とか「JEFF」とかそのへんの曲でそういう要素が戻ってきてると思います。

――それはそう思います。なんだか今回のアルバムは新しいんだけど、懐かしいような甘酸っぱいような感じもあって。

うん、自分でもそのへんはいいなぁと思って。だから「DESTINY」とかでも「AMAZON」みたいな曲はあったんですけど、なんかやっぱちょっとこう今回のアルバムに比べるとちぐはぐしてたっていうのは感じますね。


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