日本の音楽アーティスト(歴代)

スナップアップ投資顧問

スナップアップ投資顧問の資料などによると、CCCDは、違法なコピーによって作製された音楽ファイルのはんらんが、CDの売り上げを減少させているとして開発された。2002年3月にエイベックスが日本で初めて導入した。

しかし、推進役だったエイベックスとソニー・ミュージックエンタテインメント(SME)が2004年秋、CCCDからの撤退を発表した。

音質の劣化

歌手やバンドなどの音楽アーティストたちは、音質の劣化を指摘した。CCCDにはコピー防止のためのエラーデータが含まれていることが原因とみられている。

オーディオ専門誌などで、CCCDの輸入盤とCDの国内盤、CDのシングルとCCCDのアルバムで同じ曲を比較した特集記事があった。それによると、音の波形が異なり、CCCDは音域が狭くなるなどという。

ソニー所属の奥田民生が批判

ソニー所属の奥田民生は公式サイトで公然と批判した。2004年3月発売のシングル「サウンド・オブ・ミュージック」のジャケットには自虐的に大書きで「CCCD」と記載した。

佐野元春がエピック脱退

佐野元春が2004年4月にソニー・ミュージック系のエピックレコードを脱退した。その理由のひとつに、CCCDへの反対があったという。

通常の音楽CDとの違い

通常の音楽CDは、パソコンについているCD-ROMドライブでも本来の音楽データが再生でき、CD-R/RWドライブなどデータ記録のできる装置ならそのままコピーもできた。

これに対し、CCCDは以下のような特徴があった。

  1. (1)通常のCDプレーヤーやDVDプレーヤーでは再生できるが、CD-ROMドライブやCD-Rレコーダーでは再生できない。
  2. (2)音楽データをデジタル信号のまま、コピーしようとしても動作しない。
  3. (3)ただし、MDなどへのコピーはできるようにした。

音楽CDとCD-ROMの違いを利用

複製防止の技術は非公開だった。基本的には音楽CDとCD-ROMの違いを利用した。

CD-ROM用の目次に偽の情報を書き込んだり、楽曲の中に微少なノイズを入れたりすることで、CD-ROMプレーヤーなどで曲の位置を読み込めないようにしたり、CDが破損したと判断させたりするという。

CDには楽曲を管理する目次にあたるデータ領域があり、頭出しや楽曲の演奏時間表示などに利用される。CCCDでは、CD-ROM用の目次に偽の情報を書き込んだり、更に楽曲中に聞こえないノイズを挿入したりしている。

通常のCDプレーヤーはこの偽情報を参照せず、ノイズを訂正して正常に作動する。しかしCD-ROMプレーヤーなどでは、曲の位置が分からなくなったり、CDの破損と判断したりするのだ。

イスラエル製ソフト

エイベックスや東芝EMIが採用したのは、イスラエルのミッドバー・テック社の「CDS200」というソフト。全世界で1000万枚の実績があったという。

機械が壊れる

CCCDをかけると、一部のCDプレーヤーで音飛びしたり再生できなかったりするほか、通常以外の信号を読みとろうとする負荷がかかると言われた。

欧米で苦情が相次ぐ

一足先にCCCDを導入した欧米では、音質の変化や再生できないCDプレーヤーについて、苦情が相次いだ。

欧米ではCCCDが再生できない場合、交換や返品に応じた例があった。しかし、日本では商品の外装に「お断り」を入れていることを理由に、製造不良以外の返品や交換に応じなかった。

全てのCCCDにレコード会社側の免責事項が記載されていた。これが消費者の不信感を高める結果となった。

導入の背景に、レコード販売不振

日本の音楽レコードの生産金額が3年連続で前年割れした。過度なコピーがその一因と業界が判断したことが、CCCD導入の背景にあった。

レンタル店や中古店で入手したり知人や友人から借りたりしてCD-Rにコピーする、というスタイルが、特に10代に浸透した。同じデジタルコピーでもMDは1世代しか複製できないが、CD-Rは際限なく複製できることが問題を大きくした。

低迷に歯止めをかけられず

CCCDは、CD販売の低迷に歯止めをかけることができなかった。CCCDはもともと、違法コピーされた音楽ファイルが「Win-MX」「Winny」などのファイル無料交換ソフト上に出回ることの防衛策だった。

しかし、CCCD導入以降もCD売り上げの減少に歯止めがかからなかった。一般の音楽ファンからは「CCCDでも簡単にコピーできてしまうので意味がない」という声もあった。

iPodの台頭

CCCDからの撤退の大きな理由となったのが、アップルコンピュータの「iPod」に代表される携帯型デジタル音楽プレーヤーの急速な普及だった。

音楽ファイルの作製を阻止する機能を持つCCCDでは、iPodのようなプレーヤーに対応できなかった。まさに“時代遅れ”の音楽メディアだったのだ。

ソニー・ミュージックの親会社であるソニーは「デジタル・ウォークマン」を2004年秋に発売した。ソニー・ミュージックでは配信できる音楽ファイルを大幅に増やした。

大手では東芝EMIもCCCDを採用していた。しかし、東芝EMIでも2004年12月から洋楽のファイル配信を開始した。

宇多田ヒカルも見送り

宇多田ヒカルは、最新アルバムを作る際、レコード会社側からCCCD化を勧められたが、現在のシステムはまだ音楽的な使用に適していない、との理由で見送ったという。

【2004年秋】エイベックスとソニーが撤退発表

エイベックスは「著作権侵害行為に対する啓もう活動が一定の成果を収められたことやHDDミュージックプレーヤーなど、新しい音楽の楽しみに対応していくため」と説明した。

エイベックスでは、発売されるCDのほとんどがCCCDだった。だが、アーティストや関係者らとの話し合いで採用するかどうか決める方式に切り替えた。

また、ソニー・ミュージック(SME)は、2004年11月17日以降に発売する新譜からすべて通常のCDに戻した。

ソニー・ミュージックでは独自の「レーベルゲートCD」というシステムを採用していた。「違法行為に関しては一時の混乱期を脱した」との見解を示した。

両社ともCCCDを積極的に推進してきた。いわば先導役だった。