ナップスターはネット音楽配信の草分け的な存在だった。米国では、月額15ドル(約1700円)程度の定額料金で、ロックやジャズ、クラシックなどあらゆる分野の楽曲について聴き放題の音楽配信サービスを行い、人気を集めた。
「ナップスタージャパン」は2005年秋から、これら洋楽に加え、日本人の人気アーティストの楽曲もそろえ、計150万曲以上の配信サービスをパソコンや携帯音楽プレーヤー向けに始めた。
ドコモは、ナップスタージャパンの音楽配信サービスに対応した新型携帯端末を発売した。「携帯電話への直接配信が今後は市場の本命になる」と考えた。
新型端末は当時の主流の第3世代携帯(3G)端末より通信速度が格段に速く、音楽や映像送受信に適した高速携帯電話サービス「HSDPA」方式を採用した。
携帯音楽事業では、人気音楽配信サービス「着うたフル」で先行したKDDIのauが、ソニーと「ウォークマン携帯」を開発した。ボーダフォン日本法人を買収したソフトバンクも米アップルとの提携で携帯音楽プレーヤー「iPod」機能を内蔵した携帯を投入する準備をすすめていた。
各社の2006年当時の料金体系は、1曲当たり300円程度の従量制だった。しかし、ドコモは定額で聴き放題にする料金プランで対抗することを目指していた。